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問題な?オリエント急行殺人事件 [ミステリ]

夕べのドラマ版。なつかしの映画とちがって、冒頭はポアロが出張して、パレスティナで軍隊(仏軍or英国軍?)の殺人事件解決というエピソードから入る。唯一度の過ちをポアロによって暴かれた若い将校は、いきなり頭を打って自殺する。帰国するポアロを見送ってきた若い同僚将校らしき男が、ポアロをやや非難するのだが、ポアロは厳しく言い返す。(てっきり、創作エピかと思ったのですが、これが原作のようですね)

要するに、自己責任(罰を承知で掟を破った)だ、甘ったれるな!・・・というわけでしょう。

それと列車に乗り込む前にも、ちょっとしたアクシデントが。姦淫して子供を身ごもった当地の女性が、住民たちに石で打ちのめされる。ユダヤの掟(⇒女性の服装からみるとイスラムでした)なのだろうが、西洋人からみると非文明的だ。やりきれない思いの女性(ミス・デベナム)に、ポアロは異文明のことに自分の社会の常識で干渉すべきではないと厳しく言い放つ。(このエピも原作どおりなんでしょうか?)

この二つのエピソードを布石として、最後のシーンではポアロは12人の犯人たち=リンチ集団をこころならずも告発せずに見逃して、当地の警察にはウソの報告するのですが、ポアロの表情は暗く、怒りに満ちていました。目からは血の涙がでているようにも見えましたね。不本意ながらも、見逃してしまった・・・ということなんでしょうか?映画とはえらい違いのエンディングでした。(映画では、みんなで乾杯するというようなハッピーエンドだったらしい。・・・残念ながらちょっと前まで映画も録画していたのですが、消去してしまいました[もうやだ~(悲しい顔)]

いったい原作ではどう書かれていたのか気になってきましたよぉ~。昔は実家にも当然、この手の文庫本はあったのですが、今は手元にないのでTUTAYAで立ち読みしてこようと思います。残念ながら、県立図書館にはこの手の本は置いてないですし・・・。

いずれにしろ、ドラマ版はちょっと意味深なつくりでした。まあ、オリエント急行は古典の名作なので、原作どおりに作っても昔の映画の二番煎じになるだけなので、新味を出したかったのかな?なんか、法律論の話になっていましたね。

イエスは、『あなた達の中で、罪のないものだけがその女を石で打ちなさい』といったのだが、乗客の一人は、それを逆手にとって『私には罪がないから、(犯人に)復讐する資格があるはずです!』と開き直っていました。もっとも江戸時代ですら、逆縁ですとあだ討ちも認められないですがね。父や兄の仇は討てますが、弟や甥、子の仇というのは討てません。だから荒木又右エ門はあくまでも助太刀。(オリエント急行の場合は姪の敵討+11人の助太刀

この女の発言には、アメリカ人らしい傲慢さと自分勝手さが出ていたと思いますね。さしずめ、日本ならば『罪を憎んで、人を憎まず』・・・ってところなんでしょうが。ポアロはリンチに対して、社会の秩序がなくなるということで厳しく非難していました。現代の刑法論の基本ですね。あくまでも公権力が司法を担当すべしということです。

まあ、そのために陪審制度があるためですが、残念ながら日本ではその制度が停止されたままになっています(天皇中心国家にはふさわしくないから、骨抜きにされてしまった)。当然、敗戦と同時に復活すべき制度なんですけどね・・・。マッカーサー元帥は何をしていたんでしょうか?おかげで、自民党の独裁を許し、冤罪が多数発生しました。今も冤罪は絶えません。日本では有罪率99.9%という異常な警察誘導裁判となっています。

オリエント急行の犯人たちは、この陪審員の数である12人。おいおい、陪審員は審議官であって、死刑執行人じゃないぞ!・・・という突っ込みはなしにしておきましょう。なお、陪審員は満場一致が原則で、全員が納得するまで議論を尽くすわけですね。

そもそも殺されたラチャットさんは、アメリカで少女誘拐殺人を犯した(5年前の事件)のですが、マフィアの力で陪審員や裁判官・検事を買収したり恐喝して無罪放免となっていた。ということがはっきり述べられました。そういえば、映画版ではそのあたりの説明がまるで記憶に残っていません。単に捕まらずに逃走したのだと思っていましたね。(映画では、私の記憶どおり、共犯者だけが逮捕され、主犯のラチェットは逃亡した・・・と説明されいるようです)

ところで赤い着物の女というのはどうなったんでしょうか?乗客たちのでっちあげだった・・・ということなんでしょうか?でも、確かポアロも見ていたと思うのだが・・・。それと、本当は12人が互いにウソの証言をして、全員にアリバイがあったという設定だったようですが、90分のドラマではあまり詳しく描写できなかったようです。12人の名前と職業さえ、きちんと説明されなかったですからね。

アーバスノット大佐 英国人大佐 ミス・デベナム 英国人教師 公爵夫人(ナターリア) 露人 シュミット夫人 公爵夫人のメイド ハバート夫人 米国人のおしゃべり ミス・オルソン(グレタ) ちょっとぶっとんだプロテスタント宣教師  伯爵 ハンガリー人 伯爵夫人(エレナ) フォスカッリ イタリア人セールスマン マックイーン 米人、ラチェット秘書 エドワード 米人ラチェット執事 ハードマン ラチェット護衛

このドラマで良かったのは、冬のユーゴスラビアで大雪の中、列車が立ち往生し、列車内で皆が凍えているという描写は良くできたと思います。映画では、(謎解きが中心で)そんなことは気づかなかったですからね。

もう一つの疑問点ですが、ラチェットさん(実は犯人がなりすましていた)は、なぜフランス語で『問題ない、ねぼけただけだ』と返事したのか?理由がわかりません。

ベオグラード駅で一旦降りて、ポアロは2号車の個室に移る。それまでは無理やり1号車に相部屋させてもらっていた。 

乗務員のミシェルが乗客たちのアリバイを話していく。11時45分ビンコブチェ駅に停車。そのとき、マックイン(ラチェットの秘書)とアーバスノット大佐が降りたが、すぐに大佐の客室に戻って彼らは午2時頃まで政治の話をしていた。それと12時30分頃にラチェットさんが叫ぶ。⇒ミシェルが声をかけると、彼はフランス語で返事した。(ポアロは叫び声で目を覚まし、時計を見ると12時40分だった)。

そして、2時15分にミセス・ハバートが男がいたと騒ぎ出す。2時か2時半頃に、赤い着物の女の後ろ姿は見たが、どの部屋から出たかまでは見ていなかった。

そして列車が雪に衝突⇒停車する。男がいて、見下ろしていたとミセスハバートが訴える。起きたポアロはミシェルに水を頼む。再び目を覚ましたとき、ポアロは廊下を赤い着物の女が通っていくのを見る。・・・一体、赤い着物の人物は誰が演じていたのか?

朝、叩き起こされたポアロはラチャットさんの死体を見ることとなる。

公爵夫人のメイドのミス・シュミットも赤い着物の人物を2時半に見たと証言。しかも、顔は男だったとはっきりと証言。ポアロは不信に思う。(ポアロが廊下を窺ったとき、誰もいなかったからだ)

ビデオを見返したら、元女優(=ハバート夫人役)が演じていたとありましたね。そのとき、わざとポアロの部屋のドアを叩いて彼を起こしたのでした。(後ろ姿を見せて、架空の犯人がいるように思わせようとした)

各自の正体 

伯爵 ハンガリー人 エレナの夫。外交官。義によって助太刀?

伯爵夫人(レナ)  殺された少女(デイジー・アームストロング)の叔母 日本風なら敵討の主役であるが、夫(伯爵)により止められた。旧姓レナ・ワッサースタイン(ウォーターストーン)。本当はアメリカ人だった。

アーバスノット大佐(ジョー)  少女の父(アームストロング大佐)の戦友

ミス・デベナム(メアリー) 少女の家庭教師。緻密なこの犯罪計画は彼女が立てた。首謀者。

公爵夫人(ナターリア) 露人。少女の母の名づけ親。 

ミス・シュミット 正体はアームストロング邸のメイド・フランソワーズの母。本来は料理人女。

ハバート夫人 名女優リンダ・アーデン。少女の祖母。変装し、口やかましい中年女を演じていた。

ミス・オルソン(グレタ) 少女のベビーシッター。事件のショックで宣教師となった。

フォスカッリ  アームストロング邸お抱えの運転手。自殺したメイド、フランソワーズの恋人

マックイーン ラチェット秘書。正体は不正検察官の息子。

マスターマン(テディー) ラチェット執事。陸軍で少女の父と友人・従卒であった。

ハードマン ラチェットに雇われた探偵。ドラマでは説明されず。存在感なし。[もうやだ~(悲しい顔)]

コンスタンティン医師  ギリシャ人の産科医。12人目の犯人。手を汚さなかった伯爵夫人の代理を務めた。彼もまたアームストロング邸の関係者だった。

乗務員ミシェル 犯人たちに協力した。本来はパリ行列車の乗務員だが、今回だけ特別に担当替えを申し出て許可されていた。おそらく彼も事件関係者。

※フルネームを見てみると、ハリエット、ヒルデガルド、ヘレナ(エレナ)、ハバート夫人と女性陣は多くがHのイニシャル入りハンカチの持ち主でありえる・・・という細工も用意されていたんですなぁ~。


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collet

ポアロね~見ようと思いながら・・・
何やかやと他のを見たり忘れたりで、
とうとう見ずに終わってしまいました~(>_<)
でもまたいつかしそうですね!?

ところで、降龍さん注目のハリウッド版「ドラゴン・タトゥーの女」
監督や主演女優が来日してますね。
それで先日TVで見ましたが、ヒロインの彼女、
なかなかの美人でしたよ~(*^^)v

by collet (2012-02-10 17:53) 

降龍十八掌

colletさん、ありがとうございます。
ポアロはCSでも何度もやりますから、また見れると思いますね。かわりに、来月、マープルの新作が8本放映するそうですよ。

今日はドラゴン~を見る予定でしたが、忙しくて断念しました。まあ雪も降ったので、来週の平日にゆっくり見たいと思います。

ルーニー・マーラーだったかな?ERにもでていたカワイコちゃんですね。
by 降龍十八掌 (2012-02-10 18:26) 

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