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考察・ジャパンカップ [番組解析]

ドイツの3歳牝馬で、凱旋門賞馬のデインドリームは鼻歌まじりに東京競馬場を一回りして帰国した。

きっと多くの競馬ファン、特に一般ファンは『日本の馬は強いや!』と錯覚してしまっていることだろう。それと同時に超一流の欧米馬がなんで、こんなに走らないのか?・・・と疑問に思う人も少なからずいると思う。

だが、そういった人も競馬マスコミの『日本の硬い馬場が合わなかった』などのこじつけを素直に信じてしまい、納得してしまうのがほとんどだろう。

まあ、一度でもふと『なんで?』『おかしい・・・?』と疑問に思う人は幸いである。ああ、イエス様!わずかでも疑問に思う人には、ゲーム理論としての競馬オペレーションという壮大なパノラマ世界に踏み入ることができる可能性を秘めているからだ。自分の頭で、物事を考えることの出来る人である。

牝馬のウオッカが勝ち、そしてブエナビスタが簡単に勝ってしまうジャパンカップって何なんだろう?そんなんだったら、もはやジャパンカップなんて行う意味がないじゃん!・・・という声があがってきてもよさそうな気がするが、そんな記事がスポーツ新聞にでることはないだろうなぁ~。

古馬中長距離のローテーションや来年度の番組改変などから、ジャパンカップを分析できればよいなのだろうが、なかなかキーポイントのかけらすら見えてこない。ということで、もうちょっと視野を広げた視点から、ジャパンカップの結果分析をしてみたい。

ヒントになったのは、昨年春に出版された片岡先生著『拝啓、競馬番組設計者様』。ここで、片岡先生は、同じ同期の牝馬戦ですらことごとく負け続けたウオッカがどうして、4歳以降によみがえったのか?・・・ということに多くの紙面を費やされている。

簡単に振り返ると、平成19年、桜花賞はダイワスカーレットに完敗の2着、秋華賞にいたっては3着、エリザベス女王杯は出走取消の憂き目、その後ジャパンカップ4着、有馬記念は屈辱の11着、明けて平成20年は京都記念で6着とポンコツになりかけたウオッカであったが、あることをきっかけによみがえった。それは海外(ドバイ)遠征であった。

因みに、平成19年は、JRAが念願の競馬パートⅠ国入りを果たした年であったが、あろうことか国際セリ名簿委員会からの横槍で、2・3歳のレースについては実績がないのでグレード表記が禁じられるという出来事のあった年である。よって、この年から2年間(クラシックは3年間)、GⅠではなくJpnⅠという表記でレースは実施された。

この辺の事情を片岡先生は分析し、それは『海外欧米馬の出走がないから、レースレートの比較ができないからだ』・・・と看破されたのだった。欧米の競馬においては、タイムと着差から出走馬に対してレーテイングが付与される。レーテイングとはフリーハンデのことで、強い馬ほど大きな数字となる。例えば、デインドリームなら122ポンドとかブエナビスタなら116ポンドとかいうふうに決められる。

平成19年、ウオッカの勝ったダービーは、GⅠとして一旦は施行されたが後にJpnⅠとして変更される。一般ファンが目にする情報媒体では、この辺の事情が反映されないのでミスターシービが勝ったダービーはグレード表記すらないダービーであり、ルドルフが勝ったダービーは国際的な承認なしに勝手に名乗っていたGⅠであるということが分からないのだ。簡単にいうと、ルドルフもシービーもその辺のポニーレースの優勝馬ということである。

Jpn表記とは、つまり、そのレースが国際的に全く意味がないとことである。つまり、種馬としても繁殖牝馬としてもまったく国際的な価値がないということなのだ。昨年平成22年から日本もダービーを頂点とするクラシックレースを国際的に開放したが、果たして外国調教馬が出走する日はいつになるであろうか?

おそらく、JRAはその日を中期目標に着々と準備を進めているのではなかろうか?

さて、ウオッカは遠いドバイの地へ飛びGⅠに出走、4着と敗れるが、勝ち負けが問題なのではない。そこで国際GⅠレースに出走し、国際的なレーティングを獲得したということが重要なポイントだったのだ。そこで得たレーテイングはウオッカが日本国内で出走したJpnⅠ競争、そして古馬GⅠ競争に反射・反映されることになるからだ。

なるほど、そこに緻密なゲーム理論としての本質があったのだ。

ならば、どうして今年の第31回ジャパンカップにブエナビスタが勝たねばならなかったのかが分かったような気がする。そして、どうして凱旋門賞馬デインドリームが出走したのか?優勝賞金世界1のドバイWC優勝馬ヴィクトワールピサ、同世界第二位の凱旋門賞1・2着馬。この三頭がジャパンカップに出走したのは勝つためでは無い。出走して国際レーテイングを反映させることにのみ意味があったのだ。

さて、ここでクイズです! 

昨年のドバイシーマクラシックで2着、今年の春の世界最高賞金レース・ドバイワールドカップで8着と惨敗した馬は誰なのか?(因みに、そのドバイWCを勝ったのはジャパンカップで惨敗したヴィクトワールピサ)。まるで、ウオッカの再来のようなその馬とは誰なのか?

賢明な読者なら、その馬の名前が一発で分かるでしょうね?

とまあ、ここまで書いては見たものの・・・

世の中には『ブエナビスタはウオッカより、強いと思います・・・』なんてブログを書いている御仁がいるようで・・・

そうかい、好きにするがいいぜ!

 


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コメント 2

たいちさん

私のような素人には、分からない分析力ですね。
by たいちさん (2011-12-02 13:15) 

降龍十八掌

たいちさん、ありがとうございます。
複雑なものほど、本質は簡単だと『大人物』で言っていました。
誰にでも分かりやすい分析を心が得たいと思います。
by 降龍十八掌 (2011-12-02 14:15) 

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