人麻呂の暗号~3 [国語]
いよいよ本論の万葉集の内容に入ってきました。
まずは枕詞(まくらことば)。
あしひきのぉ~
とくれば、山に掛かる。平安時代にはすでに、枕詞の語源も忘れ去られていたようで、951年ぐらいに天皇の命令で源順を中心とする振り仮名事業が始まっています。つまり、平安時代の秀才たちでさえ、万葉集は読むことができなかった。つまり、万葉集は日本語=大和言葉ではない可能性が高い。
意味や謂われを知らないと、単なる修辞上のおかざりになってしまいますね。事実、平安時代以降の和歌では単なるおかざりに過ぎないようです。枕詞の謂われについては、一応、説が何通りかあるらしいのですが、どれもこれもいい加減な憶測・こじつけの域をでないものばかりです。
著者(藤村由加)たちは、そのゼミの担当助手(通称アガサ)、祭酒(学長のこと)らのヒントを手がかりに資料を網羅して、その解明にあたるという作業に取り組みます。そして彼女たちは、万葉集の和歌が
そもそもは漢字で書かれている
ことに着目します。いわゆる万葉仮名といわれる当て字ですね。現代でも子供が遊びでやったりします。話はそれますが、こういう遊びをやるようなオコチャマでしたら、心配ありません。塾でも、漢字に興味を持たないような子はどうしようもありません。はっきりいって、塾なんかやめてスポーツの分野に行ったほうがいいでしょうね。
同じ言葉を書くにしても、万葉集ではいろいろな漢字を当てています。実際、この枕言葉の『あしひきの~』においても、
足引、足曳、足病、足疾、足日木、足檜、安之比奇
など、なんと15通りものタイプがあるそうです。
万葉集においては、後期のものはいわゆる和語・ヤマトコトバなるものが確立してきますので、アイウエオの一音一音に漢字一字一字を当てるもの(上の例では、安之比奇)がほとんどになるようです。ですから、漢字自体にあまり意味はないんですね。ただ、万葉集の初期のものは、そうではないんですよね。初期の作品の著者たちは、漢字の字義や字源にも精通しており、まさに判じ物的な使い方までしているようです。
やはり、万葉集は中国文化の影響を受けた九州王朝の宮廷の産物と思われます。一方、奈良を中心とする新興国・発展途上国の大和朝廷・日本国はその後の遣唐使が中国の書物を手当たり次第に持って帰るという所業を繰り返しています。
あしひきの~が、山に掛かる言葉である以上、意味不明のあしひきではなく、誰もが分かる山について考察していくことが解読の近道であると、著者たちは気づいていきます。このあたり、ターヘルアナトミア(解体新書)を解読した江戸時代の蘭学者たちを彷彿とさせます。
あけまして、おめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
学生の頃までは百人一首はお正月に欠かせないものでした。
懐かしいです。
by サンダース (2009-01-02 19:44)
明けましておめでとうございます!
by ノリネコ (2009-01-02 19:59)
サンダースさん、おめでとうございます。
わたしは、百人一首を覚えるほどの記憶力がありませんでした。
坊主めくりがおもしろかったですね。
by 降龍十八掌 (2009-01-02 20:18)
ノリネコ先生、おめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
by 降龍十八掌 (2009-01-02 20:19)