ママ、負の計算ができなくても叱らないでね。 [数学]
中学生になるとマイナスの計算を習う。
しかし、このマイナスの加減というものは非常にやっかいなものであり、現実にこれらの計算が理解できない・マスターできない生徒がいるのだ。
このマイナスとうやつは小学校の理科でも、今日の気温はマイナス3度とか、日常生活の一部として当然のように使われているのだが、現実にマイナスの加減ができない中1年生は存在する。
これらの生徒の存在は全世界の教師・講師の頭痛の種ではなかろうか?そして、これらの生徒をどうやって理解させるかは、まさにフェルマー定理の証明より難しいのではないか?・・・と考える今日この頃。
何かいい方法があれば、ぜひ教えていただきたいのですが、一般的には数直線や温度計などに例えて説明する。
しかし、この例えること自体が理解できない、納得できない生徒が存在するのです。まして、小遣い帳よろしく貯金と借金に例えて説明したりすると、なおさら理解できない!!思わず、お前ら小遣いないのか!と怒鳴りたくなる・・・のって私だけでしょうか?
だが、このマイナスを説明するのに数直線と使うというのは(デカルト時代になって可能になったらしい)、確かに一種のゴマカシかもしれない。というのは、普通地図に例えてプラス方向(右向き)を東に5歩とか教科書では説明される。そしてマイナスは逆方向の西へ8歩とかやるわけです。しかし、もし次のように質問する生徒がいたらどうなるでしょう?
『先生、東と西は分かりました。では北東や西南西はどうなるんですか?』・・・と。
以上のような考えが、1797年のラザール・カルノーという学者先生の『微積分の形而上学について』という論文に書かれているそうです。
なるほど、五十歩百歩というように西に5歩も東に5歩も5という数には違いないから、-5(マイナス5)が果たして0(ゼロ)より単純に小さいと考えることは、数直線になれた現代人の錯覚にすぎないかもしれません。
同じくカルノー大先生の論文『位置の幾何学』(1803)より
孤立した負(マイナス)の量を本当に得ようと思うならば、現実に存在する量をゼロから引かなくてはならない。つまり、無から何かを引くのだ。そんなことは不可能である。
うーん、マイナスの計算・概念って本当は難しいものなんですね。
古代バビロニアやエジプトの計算師も、ギリシャの思想家も、アラビアの数学者もナイナスの数についての概念などは持ち合わせていなかった。(ドゥニ・ゲージ著『数の歴史』より)
お子さんがマイナスの計算ができなくても叱らないでください。
負(マイナス)の概念が誕生したのは6,7世紀ごろのインドだそうです。きっかは、会計処理だそうです。しかし、西欧では14世紀になっても利用されなかったそうです。それでも15世紀になると使用されるのですが、実際の数としてはなかなか認められなかったとのことで、あのデカルト大先生(17世紀)でさえ、方程式の負の解を『ニセモンの解』と呼んでいたそうです。
なんか自信つくなぁ・・・
「ガウス平面」で「虚数i」と「マイナス」とを同時に教えたほうが
わかる生徒さんがいるかも。\(^o^)/
by Kimball (2007-08-21 22:31)