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ビヨンド・サイレンス

1996年ドイツ映画

前回の『点子ちゃんとアントン』に続きまたも子供を描く感動的作品。

聴覚障害の両親を持つ少女(ララ)は音楽の才能に目覚めクラリネットを吹くようになる。音楽の先生も個人教授が必要と認めるほどだ。

しかし、聴覚障害を持つ両親、特に父は音楽に対するトラウマもあり、娘が音楽をならうことに反対。

彼女は手話通訳をするためたびたび学校を早退していた。

・先生が両親に『早退を認めません』『読み書きの能力が不足しています』と言うのを適当にごまかして手話通訳するところが名場面。

・妹(マリー)が生まれ、クラリネットを吹くと泣き出す。そこで妹が耳が聞こえると知り喜ぶ『マリーは耳が聞こえる!』

やがて18歳となり、先生や叔母(父の妹で音楽に詳しい)の勧めでベルリンに音楽修行にいくことを勧めるが、父は反対する。『私、音楽家になりたい』という娘に『お前が聾(ろう)なら同じ世界に住めるのに』と嘆く父。

ベルリンの叔母の家から学校にかようこととなる。彼氏もできる。

小学生の妹が500キロ離れた家から、放課後、尋ねてくる。帰りは叔母さんが車で送る。車内と家の窓越しに手話で会話する、父と叔母の兄妹。ここがいいシーンだ。『兄さんもベルリンの娘を尋ねたら』と誘う妹。

入学試験の実技の会場、突如、父が現れる。驚くララ。手話を見て集中できないララ思わず

『黙ってて、パパ』と手話で対応する。

子供のころから通訳しているので、きっと父の動作を見るだけで頭が反応するのだろう。演奏もできないほど気をとられるというわけか。

試験官に説明すると『見るだけならご自由に』ということで、本当に見るだけの父。

『これがお前の演奏か。耳は聞こえないがこれからは、解るように努力する』と言って去る父。

きっと聴覚障害の父には極低音だけが聞こえるのかもしれない。健常者にはわからない不思議な感覚だろう。相手を思いやるという想像力の大切さを、この映画は教えてくれる。

#次の放送は19日のなんと朝4:30から!録画してみるしかないですね。

261ch、ムービープラスにて


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コメント 5

こんばんは。私はこの映画を銀座まで見に行きました。
その頃は手話に興味があったわけではなく、
友達に連れられてなんとなく見ていましたが。。。

この記事をみて、細かい場面をいろいろと思い出しました。娘のクラリネットの
音を分かろうと、手すりにつかまり振動を感じている父親の姿が
目に浮かびます。

今、手話を勉強し聴覚障害者やコーダ(聾唖の両親をもつ健聴の子供)の事を
理解して改めて見るといろいろと感慨深いものがあるかもしれませんね。
また見たい映画の一つです。
by (2006-01-07 00:11) 

降龍十八章

>手すりで振動を感じようとした
とは気づきませんでした。教えていただきありがとうございます。
主人公と叔母さんが裸で夜の川を泳ぐシーンがありましたが、あれは何を描こうとしているんでしょうね?
by 降龍十八章 (2006-01-08 21:28) 

>手すりで振動を感じようとした。
というのも、後々になって聴覚障害者と関わりを持ったときに、
音を感じる手段として教えてもらって、なるほどって思いました。
聾唖者の文化ですね。

裸で川で泳ぐシーンって覚えてないです。
ドイツの文化なのでしょうか。。笑。。。
by (2006-01-09 06:46) 

降龍十八章

川というか湖かもしれませんが、最初のシーンではララは泳がなかったのですが、二度目のシーンでは裸になり叔母さんと一緒に泳ぐのです。
『怖がらないで』という叔母さんの言葉は、人に見られるのを怖がるなと言う意味と同時にララに、人生を怖がるなという意味を暗示させているのではないかなと思ったのです。
文字通り、一皮剥けたララは父との葛藤を越えて一段階、人間的に成長したのではないでしょうか。
by 降龍十八章 (2006-01-10 10:04) 

絶対もう一度見たいと思います。
見たら、私のブログにもアップしますね。

ちょっと先になるかも知れませんが。。。。
by (2006-01-10 13:56) 

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