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アイヴァンホー [小説]

名作アイヴァンホー。紀伊国屋にも在庫なかった。県立図書館で借りてきましたが、検索する案内役の人も題名聞いて、まるで知らなかった。図書館の職員って学のない人ばかりだよなぁ~。

しかし、ウォルター・スコットの本って昔(我々が子供の頃)は、よくあったそうだが、今は完全にすたれているようだ。それに、最近は新たな翻訳本も出ていないようだ。映画のリバイバルもないし。

冒頭を読んだが、英語の勉強になります。狂言回し的な二人組(屋敷の家来)の掛け合いで始まるのですが、豚(スウエィン)と牛(オックス)が、貴族の食事になるとポーク様、ビーフ様になるというサクソン人の皮肉。ノルマン朝によるフランス語の混入にとまどう庶民の状態がよくわかります。主人公の父親=屋敷の主人は、「サクソン人」の誇りを持って生きている頑固者という役回り。

そもそも英国内でもスコットランド人はまた別種で、作者スコットも名前のとおりスコットランド人(エジンバラ生まれ)。


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優駿エッセイ賞 [小説]

先週だったか、グリーンチャネルを見ていたら競馬に関するエッセイ(随筆)を募集していた。優勝すると50万円円だとか。調べてみると、機関誌「優駿」にて毎年、7月ごろを締切に開催しているという。

あの「気がつけば騎手の女房」の吉永みち子(実は離婚していた!)もその第1回の優勝者で、もちろん夫の騎乗馬ミスターシービーがシンザン以来19年ぶりの4冠馬と(当時は三冠馬)なったのだった。そもそもこのエッセイ賞の企画は第50回ダービー周年を記念してのことだったという。

今回の選考委員にも、もちろん吉永さんも入っている。

私もひとつ、ちょっと参加してみようかな・・・とも思うのだが、選考委員はバリバリの(競馬サークル)体制内のひとびと。私のまっとうな考察と文章が受け入れられるかどうか疑問だが、きっとJRAさんは大きな懐をお持ちだと思うので、まあ大丈夫でしょう。(笑)

そういえば、最近は馬券本がめっきりすたれてしまった。片岡先生も20年以上つづいた年2回の新作が今年はなかった。その編集者との話だと、「今の主流の年金生活者は難しい理論にはついてこれない。ちょっとばかし、年金を割り増しできて、なおつかお手軽な(手法の)必勝法が望まれている。」・・・・とのこと。

うーん、世の中、そんな馬鹿ばかりなのか?

まあ、随筆なので、中身よりも考察や社会的な視点が大事なのかもしれない。400字詰で10枚以内だから、枕草子風に簡略に自分なりの考察と意見を書いてみようか。


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新しい相棒 [小説]

警察小説で有名な今野敏の新刊。確証

新しい主人公が登場ですが、ドラマ相棒の二番煎じ。しかも相棒となるのは若手の女性刑事。ただし、二人とも警視庁のデカではあるが殺人を扱う第一課ではなくて窃盗を扱う第三課という地味な設定。

因みにドラマの相棒は原作はなくテレビのオリジナルらしい。

 


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ある県の反乱 [小説]

事件発生

三月、兵庫県の浅尾知事が、なんと皇居でのアメリカ大使饗応の準備中に、吉舎(きさ)大臣にナイフで斬りかかったとう事件が発生した。幸い、被害者の吉舎大臣は軽症ですんだとのことです。一方、容疑者の浅尾知事は直ちに逮捕され、現在は東京拘置所に移送され、検事じきじきの取調べを受けております。

翌日

この事件をめぐって、政府は緊急閣議を招集。古来よりの定法である『喧嘩両成敗』と説くもの、『これは乱心だ!』と叫ぶもの、『宮中で刃傷におよぶとは、とんでもない不敬である!』と時代遅れの尊王思想を言い出すものたちまであり、会議は紛糾した。

なお、被害者の吉舎大臣は『私は何にも悪くありません。あの人が、いきなり斬りつけて来たのです。アイタタタ・・・』と発言しており、改革公方と言われる大泉総理大臣も『悪いのは浅尾知事。断固、処罰すべし!』との意向と伝えられております。

地元では

一方、何も知らない地元、兵庫県庁ではのどかな光景が続いていた。昼休み、知事代理の大岩副知事はいつものように、将棋に熱中していた。ふだん、職員連中からは『エリートでなく、デイライト(昼あんどん)やね』とアダ名をつけられている有様。そこへ、秘書から緊急の連絡が届けられる。しかし、たちまち副知事の顔色が変わる。『おお、なんといたましや・・・』

あろうことか、東京出張中の知事が、宮中で刃傷沙汰におよび、翌日には異例の集中審議裁判が行われ、即刻死刑が執行されたというのだ。このとき、若き青年知事は34歳だった。しかし、肝心の犯行理由やいきさつは全く、何も明らかになっておらず、まさに狐につままれたような事件であった。

半年後

連帯責任で、幹部職員は全員辞職。事件発覚後の総決起集会では、政府および与党への復讐に燃えていたかに見えた職員一同であったが、時がたつとともに日和見の職員は一人去り、二人去り、いまでは50名近くまで減ってしまった同志であった。肝心のリーダーである大岩元副知事は京都の祇園で遊び歩く有様。『このご時勢に敵討ちなんて、洒落にならんよ』

これは大岩の本心であった。しかし、どうにも頭の固い連中が50人近くも残っているし、世論も応援しているようであった。『これは、ホンマに死ぬしかないか・・・?』と、心のそこから酔えない大岩であった。

 

一年後

同志は少人数に分かれて、ひそかに東京していた。ただし、実際には公安警察により逐一、彼らの動きは把握されていた。リーダーの大岩もいよいよ東京入りし、とある民家の世話になっていた。仇の吉舎邸は、現在、門の修理中であり、防犯システムのセコムもスイッチが切られているという情報もつかんでいた。また、広大な屋敷の間取り図も、密かに手に入れていた。残る問題は、邸宅内にいる警備員の猛者たちである。中にはかなりの使い手がいるという。

天誅

時は12月14日の深夜、ちらりちらりと雪がぱらつく吉舎邸宅前に集合した大岩ら同志は47名。なお、このときまでに、大方の警察・公安では仇討ちへの同情が集まっており、みな傍観すべしという大勢となっていた。したがって、警察・公安当局も見てみぬふりのようであった。中でも警視庁は、同情的であり、その夜の警邏(けいら)をあえて吉舎邸付近をはずしていたふしがあった。『さあ、皆さん、参りましょう。』と声をかける大岩。全員が、小さな、しかしはっきりした調子で『おう!』と答える。

襲撃は意外にも容易く成功した。隣の邸宅は同じ県知事仲間のある県の屋敷であった。なんと、そこの主人が『武士の情け』とばかりに、ライトで照らしてくれるという粋(いき)な計らいを見せてくれたのだ。『ありがたい!ご助力感謝いたします!』大声で、塀の向こうの姿見えぬ協力者(とも)に礼を言うとともに頭(こうべ)をたれる大岩。『なに、十五夜の満月がこの雪雲では見えぬゆえ、自分の家の庭をライトアップしてみただけのことでござるよ。』と声のみの返事が響く。

強敵と思われたガードマンの大将格、清水もあっけなく降参。しかし、肝心の仇の吉舎大臣の姿が見えぬ。『さては密かに、地元の選挙区の山形へ逃げたのか?』と不安になる一同であったが、そのとき、部屋に飾られた掛け軸がちらと揺れたのを見逃さぬ元職員がいた。『はて奇怪な。風もないこの部屋でなぜ、掛け軸が・・・?もしや、抜け道か?』掛け軸をめくってみると、なんとそこには抜け道が掘られているではないか!さっそく、たどってみると外の裏小屋に通じていた。果たして、その小屋には小柄な老人が隠れていた。こいつが、仇の顔か?

『あなたが、吉舎元大臣ですね。個人的な恨みはありませんが、このような仕儀にあいなったのも天命と申すものでしょう。お命頂戴いたします。』見事、首をはねて勝鬨(かちどき)を上げる。

かくして、戸締り・火の用心をしっかりと確認し、引き上げる同志たち。さっそく歩いて、亡き元知事の墓に参り、首をささげて勝利報告。そして、1名を除いた46名が東京警視庁に潔く出頭するのだった。朝方の沿道には東京中の市民が集まり、やんやの大喝采を浴びせた。『皆さん、ありがとう!』心の中で答える大岩ら一行であった。

その後の46名

政府では再び、緊急の閣議が開かれていた。まず、大泉総理が発言。『昨年は、ついカットなって浅尾さんだけを死刑にしてしまったが、よく考えたら喧嘩両成敗。今回は、これで双方痛み分けだし、よかったんじゃないかな』といつものように、他人事のように言う。文部大臣の中池百合絵も『そうですわねぇ~、なんといっても親孝行と忠義は、国の礎ですわ。もし、義士たちを処罰したら、今後政府への信頼は揺らいでしまいます。それに、なんと言っても支持率が下がるし、次の選挙でも不利ですもの・・・』

以下、同志たちに同情的な意見と自分勝手な保身の意見が大勢を占めた。しかし・・・

別室の総理大臣直属の人倫・法務諮問会議では、アメリカかぶれの竹ノ中委員と気鋭の上草委員が真っ向から対立していた。

竹ノ中委員 『天下泰平のこの世で、徒党を組んで堂々と殺人を行うなど、言語道断。全員死刑にしましょう。だいたい、連中も出頭などせずに、その場で腹を切るべきだったんです。あいつらはテロリストだ!』

上草委員 『何をおっしゃるウサギさん。上司の仇を討ってこそ忠義です。この国は儒教の国なんです!もとはといえば、前回の政府・総理の処置が不適切だったのです。だいたいこの国は経済政策が根本的にまちがっているんですよ!』

『なにお、このエロ学者!』『だまれ、売国奴。税金払え!』

と互いの中傷合戦にまで発展し、当代を代表する二人の学者の意見は完全に分かれていた。一方マスコミの意見は、ほとんどが同志たちを持ち上げるものでうまった。47人の義士ともてはやされた。歌舞伎界では、さっそく脚本化が47人の元職員をイロハ47文字に、大岩(倉蔵)副知事の名前の一字のと東京にある大手運輸会社の倉庫が47棟あることにひっかけて『仮名手本忠臣蔵』を書き上げて、連日、超満員の大入りとなった。宝塚歌劇の舞台でも、『ベルサイユのバラ』にならぶ大ヒットとなった。

判決

2月。保釈された義士一同は、それぞれ身元引き受け人に世話になっていた。主人に対して、大岩が一言をもらした。

『我らが集団自決せずに、お上に出頭したのは、先の知事の件をめぐる首相の片手落ちの処理に対する抗議もありますが、それ以外にも弱者切り捨ての名前ばかりの改革路線に反省を促したいからなのです。』

世論とは裏腹に、結論は全員、死刑と決まった。

官房長官の塩河大臣(通称、しおじい)が、ぶらさがりの記者の質問に答える。

『法治国家のわが国においては、いたし方のないこと。また彼ら義士たちにとっても、覚悟の上のことであったでしょう。彼らの美しい行為も、死んでこそ永遠に語り継がれ、光輝くといもの。ここは、涙を呑んで、彼らを死なせて上げましょう。』

 エピローグ

その後、政府に批判的な上草教授は、公安の執拗なマークにあい、痴漢行為で逮捕される。冤罪を主張するが、裁判官にとりあってもらえず、事実上、完全に社会から抹殺される。

一方、敵(ライバル)の竹ノ中教授は、なんと参議院議員に当選。経済産業大臣となる。『改革は痛みを伴う』という骨太の方針を掲げ、民生不感症の政策をつぎつぎを実施する大泉内閣の中核を担うこととなる。

 


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