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オリエント急行~を徹底的に読む [ミステリ]

著作権って何年なんですかね。流石に100年もないとは思うのですが・・・。⇒条約によると著作者の死後50年というのが一般的なようなので、ポアロやマープルシリーズが無料の電子図書になるのはまだちょっと先かな? (アガサは1976年死亡)

原作を読みたかったのですが、紀伊国屋の洋書コーナーはかなり縮小された子供だましで、めぼしい洋書ほとんど何もありませんでした。(意外やドラゴンタトゥーのペイパーバックがたくさん置いてありました!)ただ、県立図書館に行って検索したらかなり昔の文庫本があったので借りてきました。倉元推理文庫で初版は1959年!訳も(ハヤアワ文庫の新刷と比べると)かなり古いです!でも、ハヤカワ文庫は一冊900円近いので、ちょっと手が出ません。

ポーター⇒赤帽、スタンブール=スタンブール、ベオクラグラード⇒ベグラード、ミネラルウォーター⇒鉱水、などなど。

まずドラマとの違いは、冒頭の中東での事件。

犯人は現地を統括するフランス軍の高官であり、その対処に苦慮した上層部(将軍)がポアロに解決を依頼したものであった。その詳細は語られること無く、ただ高官が自殺し、もう一人が辞職したという記述のみでした。見送りの下士官には、いったい何が起こったかは知らされていないんですね。つまり、暗黙のうちに処理された。確かに、フランス軍の将軍なら、ベルギー人のポワロと親しかったというのも納得できる設定です。ドラマは吹き替えだったので、わかりませんが英国軍内の事件だったように見えました。

しかも犯人は高官でなく、若い中尉の起こしたケチな事件でした。見送りの下士官が控えめな抗議をし、ポアロがそれに反論する場面がありました。さらに、現地で姦淫した女性が石で打たれ、リンチされる場面も追加されていますが、これも原作にはなし。ですから、最後のシーンでもあっけらかんと犯人を見逃してやるというハッピーエンドが本当の話で、この点では映画の方が原作どおりといえる。

結局、最初と最後の演出(正義に対する考え方)はドラマ独自の創作でした。まあ、昔のオールスターキャストの映画との違いを出したかったんでしょうが、原作に忠実なポアロを目指したかった・・・というD・スーシェ版ドラマのコンセプトに反すると思います。

イスラムらしき不倫妊娠女性が石で殺される場面をミス・デベナムが目撃するという場面もなく、原作において、ポアロがミス・デベナムとアーバスノット大佐を最初に見たのは、アレッポ駅(シリア)からハイダルパシャ駅へ向かう(寝台)列車の中での出来事でした。二人の意味深な会話を聞いたのも、列車が途中停車した駅のプラットフォームでのこと。

その後、ボスフォラス海峡を船で渡り(当時は橋がなかったんでしょうね)、イスタンブールのヨーロッパ側に渡る。

オリエント急行では、最初、ポアロは席が取れずに二等寝台(二段ベッドの相部屋)に乗ることになる。ホテルのフロントでは、こんな季節(冬)ですからガラガラですよ・・・と言われていたのだが。実は、このセリフが最初の布石なのだが、ドラマではなぜかカットされている。因みに、座席を融通してくれた鉄道会社重役のブークはベルギー人で、ポアロの古馴染みだったとの設定。

気になるのは、一人だけ予約客(A.M.ハリスという英国人)が乗り遅れたこと。ダミーだったのかな?(⇒最後に、ダミーだったことがわかる。重要な役を演じるはずのマックインーンの同室に他人を乗せたくなかった)。しかし、その架空の人物が来なかったおかげでポアロはその寝台に乗ることになる(マックイーンと相部屋=ニ等車両の7号)。翌日、ベオグラード(ユーゴスラビア、今のセルビアの首都)で、アテネからの連結車両があり、ポアロは一等寝台の個室に移ることになる。だから、初日の夜には計画を実行できなかった。(もっとも、計画は当初から二日目の夜であったらしいのだが。・・・トラブルを避けるために死体が発見されるのは文化圏のイタリア当たりにするはずだった。)

一等寝台の1号(個室)は本来は重役のブークの部屋だったが、カレーまで行くポアロのためにブークが譲ってくれる。ブーク自身はアテネから来た車両に移る。なお、一等寝台は食堂車の次の車両である。

被害者のラチェットは、ポアロの隣部屋=2号(個室)で殺される。

12時30分。積雪により停止。原作では、ドラマのようなハデな衝突シーンはなし。

12時37分。(ちょうど、1時23分前・・・と訳されているが、どこが丁度なのだろうか?[ふらふら])ポアロが叫び声で目を覚ます。ベルが鳴り、隣の部屋に車掌(ミシェル)が行くが、中から例のフランス語の返事がある。

寝付かれないポアロは、隣室(2号)の洗面台の上げ下げする音、水を流す音、ラチェットの歩き回る音を聞いた。また廊下でスリッパを引きずる音を聞いた。だが、あまりに静かなことを不審に思う。列車は雪により停車していたのだった。時計は1時15分となっていた。

ポアロが廊下を覗くと、呼び出しベルが鳴る。3号個室のハバート夫人だ。車掌に、部屋の内部に男がいたと言い張る。その後、ポアロは車掌にミネラルウオーターを頼み、それを飲む。だが、今度はドアをガタンとする音がしたので、再び外をのぞくと例の赤い着物の女の後ろ姿を見る。女は食堂車の方に向かっていた。

今度はぐっすりと寝て、ポアロが起きたのは午前9時過ぎ。

ドラマではギリシャ人医師(しかも産科医)のコンスタンチンが犯人一味で、ポアロをミスリードしようとしていましたが、原作ではむしろ逆でした。ちゃんと、『雪に足跡がないから、この窓を開けたのはダミーだ。』『この傷は左利きでないと不自然だ。』など、いろんな指摘をしていましたし、単に医師とかしかありません。因みに、この医師の名前はイスタンブールの旧名(ビザンチン、つまり後のコンスタンチノポリス)からとっていますね。原作では、ハードマンというアメリカ人私立探偵の乗客がいたのですが、彼をカットしてかわりに13番目の協力者という形で強引に医師をもってきたものです。

さて、ドラマでは説明されなかった犯人一味の一人がフランス語で返事した謎ですが、これはラチェットがフランス語を話せないということがバレルこを見越したたうえで、その時間(=12時37分)には既にラチェットは謎の男に殺されていた・・・と思わせるためのトリックだったと分かりました。実際には、そのときはまだ眠り薬で眠らされていた状態であり、犯行はずっと後の時間(=午前2時近く)だったということのようです。

だが、だとすると、ポワロを目を覚ますことになった叫び声は何だったのか?

ドラマでは、ラチェット氏をナイフで生殺しにした時の苦悶の叫びでしたが、原作では、誰かがトリックのために叫んだということになっています。(但し、証拠はない)

そうそう、肝心のヘレナ(伯爵夫人)とリンダ・アーデン(女優、ヘレナの母)の姓はゴールデンベルグであり、ウォーターストーン(ワッシャースタイン)ではありません。なんで、ドラマでは苗字を変更したのか分かりません。そもそも、醜いロシア公爵夫人が彼女たちの姓を偽って英語に言い換えたというのは原作にはありません。彼女の旧姓はちゃんとパスポートに載っており、ポアロもリンダ・アーデンの本名を記憶してんですよ。だから、この当たり下りは映画の創作のようです。ですが推理ドラマでは、とてもいい場面なのでドラマもそれを踏襲したのでしょう。おそらく映画でも、ウォーターストーンだったのかな?ゴールデンベルグじゃせいぜいゴールドバーグにしかならないので、言い換えの意味がないからな・・・。


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ダベンハイム氏失踪事件 [ミステリ]

チャンネル銀河で再放送中。 

ポアロ第14話。(第二シーズン第4話)

初期のシリーズは短編集からの映像化のようだ。原作『ポアロ登場』(14編収録)は1924年発表作。実質的には三作目。(長編スタイルズ荘~、ゴルフ場~の次で、アクロイド~の前)

クリスティー百科事典によると、この短編集では後期に作られた長編群にくらべて、外国人ポアロの『一見、鼻持ちならない性格』がよく出ているという。だいたい作者のアガサ自身がポアロをあまり好きでなかった・・・とのこと。

さて、物語は銀行頭取のダベンハイム氏が、待ち人(ロウエン氏・・・債権者?)が来る前に外出し、行方不明になるという話。

すぐにこれは狂言くさいと思いつきますね。中盤にスリ(ビリー・ケレット)が登場し、ジャップ警部のサイフを盗もうとする。しかも彼はダベンハイムの指輪を持っているんではねぇ~。なんかこれはホームズの『唇のねじれた顔』(1891年発表作)を思い出しました。つまり、このスリはダベンハイムと同一人物では?・・・と私の灰色の脳細胞が囁きました。服が沼(湖)から発見されうというのもソックリではないですか。

しかも失踪後、邸宅の金庫が破壊され中身が奪われる。これは自分自身で盗んだのではないか?ダベンハイムは資金繰りに行き詰っていたという。

ヒントはダベンハイムはドイツ(⇒ヨハネスブルグは南アフリカでした)に3ヶ月出張し、それ以後夫妻は寝室を別にしていた・・・ということ。


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今度のミス・マープルはかわゆい系? [ミステリ]

3月に一挙8本放映するマープルは、ジェラルディン・マクイーワンのマープル(ⅠⅡⅢ)でなくて、ジュリア・マッケンジーという女優さんのマープルⅣⅤですね。

昨日のオリエント~の最後にチラッとでていた予告写真(⇒BSで会いましょう)をみたら、かわいげなマープルでしたよ。これなら、私のイメージするマープルどおりですね。ヒクソンのマープルはババ臭くて器量が悪すぎるし、マクイーワンのマープルはちょっと原作とは違いすぎ。今度のマープルは期待できそうですよ。ただ、声優が誰か気になるなぁ~。

えっ、藤田弓子!赤組キャプテンじゃないですか!

まあ、許容範囲でしょう。代役の草笛光子はひどすぎましたからねぇ~。

タイトルがマープルⅣ+ⅤということはⅢまでのマクイーワンさんが交替したってことですかな?タイトルもマクイーワンものと同様で、本来のマープルものでないものが混じっていますから、きっとそうですね。まあ、原作とはかなり違いますが、結構楽しめますから今回も期待できます。

3月19日ポケットにライ麦を

3月20日殺人は容易だ 探偵ルークとバトル警視もの。

3月21日なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか? ボビーとフランキーもの。昨年見た⇒記事

3月22日魔術の殺人

3月26日青いゼラニウム マープル短編集『火曜クラブ』中の一編。

3月27日チムニーズ館の秘密 本来はバトル警視もの。このチムニーズが舞台となる次作の『七つの時計(セブン・ダイアルズ)』が傑作でしたね。

3月28日蒼ざめた馬  マークとジンジャーもの。これも昨年見ましたね。⇒そのときの記事

3月29日鏡は横にひび割れて E・テーラーの映画クリスタル殺人事件ですね。マープル役はジェシカおばさんだった[わーい(嬉しい顔)]


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問題な?オリエント急行殺人事件② [ミステリ]

オリエント急行で検索してみたら、面白い意見がありました。

ミステリーとして破綻している!

①雪で立ち往生してしまった列車では、イギリスの邸宅内の犯罪と同じじゃん!・・・という意見。つまり、列車は走っている最中でないと意味がないという意見です。まして、映画・ドラマとなると余計にその欠陥が目立つという意見。

②犯人たちが(犯罪の)シロウトなので、最初から勝負にならない⇒犯人たちのミスで、自然に(ウソ)がばれてしまった⇒拮抗する頭脳合戦というミステリ本来の醍醐味に欠ける作品・・・という意見。

①は確かに、そうともいえますね。まあ、難しく考えなければ面白いですどね。だが、②に関しては、疑問。だって、雪による脚止めというアクシデントがなければ完全犯罪だったわけですからね。

③ホームズなど19世紀の探偵は、科学的捜査という時代背景から、物的証拠や客観的証拠を重視、関係者の証言などを基本的には信用しない。一方、アガサ作品は20世紀なので、特にポアロなどは人間関係や証言を重視するという。

③の見解はなるほどと思いましたね。ポアロやマープルの真骨頂は、相手のウソや隠れた人間関係・感情を見抜くという洞察力にありますからね。20世紀の読者には古典的手法が、19世紀の読者には科学的手法がウケル・・・というわけですね。

ただ、本格的な捜査ではないがゆえに、逆に物的証拠が一切ない。⇒だから犯人たちを見逃すことが出来た・・・という理屈が成り立つわけですね。(最後にポアロは二つの説をだして、そのどちらを採用するかは鉄道責任者に託す・・・という形をとる)

つまり、乗客たちの矛盾する証言だけが証拠であり、12人全員(あるいはその一部)が絶対に犯人であるとは言い切れないんですね。

ドラマでは、最後に犯人の一人がポアロを殺そうとするシーンがありましたが、(原作の)ポアロは別に(自分の)命が惜しくて見逃したわけではありませんよね。(かといって、ドラマのように怒り心頭!・・・というわけでもないと思うのですが)。だが、冒頭のパレスチナでの事件が原作であるということは、ドラマのような解釈が正当なのかもしれない。(やはり、原作を見直さないと・・・)

ドラマ(デビッド・スーシェ版)のポアロは、全シリーズを通して一貫して正義ということを強調している。ポアロはホームズのように、知的欲求を満たすために探偵をやっているわけではない。もちろん、金のためでもない。だから、本当はやはり、12人の犯人たちを許せなかったはずなんだよなぁ~。赤穂浪士だって最後は切腹でしたからね。

やはりリンチはよくないですよ。もっとも、アメリカ人というのは証拠もなしにイラクに爆弾落としても、謝りもしない連中だからなぁ~。

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問題な?オリエント急行殺人事件 [ミステリ]

夕べのドラマ版。なつかしの映画とちがって、冒頭はポアロが出張して、パレスティナで軍隊(仏軍or英国軍?)の殺人事件解決というエピソードから入る。唯一度の過ちをポアロによって暴かれた若い将校は、いきなり頭を打って自殺する。帰国するポアロを見送ってきた若い同僚将校らしき男が、ポアロをやや非難するのだが、ポアロは厳しく言い返す。(てっきり、創作エピかと思ったのですが、これが原作のようですね)

要するに、自己責任(罰を承知で掟を破った)だ、甘ったれるな!・・・というわけでしょう。

それと列車に乗り込む前にも、ちょっとしたアクシデントが。姦淫して子供を身ごもった当地の女性が、住民たちに石で打ちのめされる。ユダヤの掟(⇒女性の服装からみるとイスラムでした)なのだろうが、西洋人からみると非文明的だ。やりきれない思いの女性(ミス・デベナム)に、ポアロは異文明のことに自分の社会の常識で干渉すべきではないと厳しく言い放つ。(このエピも原作どおりなんでしょうか?)

この二つのエピソードを布石として、最後のシーンではポアロは12人の犯人たち=リンチ集団をこころならずも告発せずに見逃して、当地の警察にはウソの報告するのですが、ポアロの表情は暗く、怒りに満ちていました。目からは血の涙がでているようにも見えましたね。不本意ながらも、見逃してしまった・・・ということなんでしょうか?映画とはえらい違いのエンディングでした。(映画では、みんなで乾杯するというようなハッピーエンドだったらしい。・・・残念ながらちょっと前まで映画も録画していたのですが、消去してしまいました[もうやだ~(悲しい顔)]

いったい原作ではどう書かれていたのか気になってきましたよぉ~。昔は実家にも当然、この手の文庫本はあったのですが、今は手元にないのでTUTAYAで立ち読みしてこようと思います。残念ながら、県立図書館にはこの手の本は置いてないですし・・・。

いずれにしろ、ドラマ版はちょっと意味深なつくりでした。まあ、オリエント急行は古典の名作なので、原作どおりに作っても昔の映画の二番煎じになるだけなので、新味を出したかったのかな?なんか、法律論の話になっていましたね。

イエスは、『あなた達の中で、罪のないものだけがその女を石で打ちなさい』といったのだが、乗客の一人は、それを逆手にとって『私には罪がないから、(犯人に)復讐する資格があるはずです!』と開き直っていました。もっとも江戸時代ですら、逆縁ですとあだ討ちも認められないですがね。父や兄の仇は討てますが、弟や甥、子の仇というのは討てません。だから荒木又右エ門はあくまでも助太刀。(オリエント急行の場合は姪の敵討+11人の助太刀

この女の発言には、アメリカ人らしい傲慢さと自分勝手さが出ていたと思いますね。さしずめ、日本ならば『罪を憎んで、人を憎まず』・・・ってところなんでしょうが。ポアロはリンチに対して、社会の秩序がなくなるということで厳しく非難していました。現代の刑法論の基本ですね。あくまでも公権力が司法を担当すべしということです。

まあ、そのために陪審制度があるためですが、残念ながら日本ではその制度が停止されたままになっています(天皇中心国家にはふさわしくないから、骨抜きにされてしまった)。当然、敗戦と同時に復活すべき制度なんですけどね・・・。マッカーサー元帥は何をしていたんでしょうか?おかげで、自民党の独裁を許し、冤罪が多数発生しました。今も冤罪は絶えません。日本では有罪率99.9%という異常な警察誘導裁判となっています。

オリエント急行の犯人たちは、この陪審員の数である12人。おいおい、陪審員は審議官であって、死刑執行人じゃないぞ!・・・という突っ込みはなしにしておきましょう。なお、陪審員は満場一致が原則で、全員が納得するまで議論を尽くすわけですね。

そもそも殺されたラチャットさんは、アメリカで少女誘拐殺人を犯した(5年前の事件)のですが、マフィアの力で陪審員や裁判官・検事を買収したり恐喝して無罪放免となっていた。ということがはっきり述べられました。そういえば、映画版ではそのあたりの説明がまるで記憶に残っていません。単に捕まらずに逃走したのだと思っていましたね。(映画では、私の記憶どおり、共犯者だけが逮捕され、主犯のラチェットは逃亡した・・・と説明されいるようです)

ところで赤い着物の女というのはどうなったんでしょうか?乗客たちのでっちあげだった・・・ということなんでしょうか?でも、確かポアロも見ていたと思うのだが・・・。それと、本当は12人が互いにウソの証言をして、全員にアリバイがあったという設定だったようですが、90分のドラマではあまり詳しく描写できなかったようです。12人の名前と職業さえ、きちんと説明されなかったですからね。

アーバスノット大佐 英国人大佐 ミス・デベナム 英国人教師 公爵夫人(ナターリア) 露人 シュミット夫人 公爵夫人のメイド ハバート夫人 米国人のおしゃべり ミス・オルソン(グレタ) ちょっとぶっとんだプロテスタント宣教師  伯爵 ハンガリー人 伯爵夫人(エレナ) フォスカッリ イタリア人セールスマン マックイーン 米人、ラチェット秘書 エドワード 米人ラチェット執事 ハードマン ラチェット護衛

このドラマで良かったのは、冬のユーゴスラビアで大雪の中、列車が立ち往生し、列車内で皆が凍えているという描写は良くできたと思います。映画では、(謎解きが中心で)そんなことは気づかなかったですからね。

もう一つの疑問点ですが、ラチェットさん(実は犯人がなりすましていた)は、なぜフランス語で『問題ない、ねぼけただけだ』と返事したのか?理由がわかりません。

ベオグラード駅で一旦降りて、ポアロは2号車の個室に移る。それまでは無理やり1号車に相部屋させてもらっていた。 

乗務員のミシェルが乗客たちのアリバイを話していく。11時45分ビンコブチェ駅に停車。そのとき、マックイン(ラチェットの秘書)とアーバスノット大佐が降りたが、すぐに大佐の客室に戻って彼らは午2時頃まで政治の話をしていた。それと12時30分頃にラチェットさんが叫ぶ。⇒ミシェルが声をかけると、彼はフランス語で返事した。(ポアロは叫び声で目を覚まし、時計を見ると12時40分だった)。

そして、2時15分にミセス・ハバートが男がいたと騒ぎ出す。2時か2時半頃に、赤い着物の女の後ろ姿は見たが、どの部屋から出たかまでは見ていなかった。

そして列車が雪に衝突⇒停車する。男がいて、見下ろしていたとミセスハバートが訴える。起きたポアロはミシェルに水を頼む。再び目を覚ましたとき、ポアロは廊下を赤い着物の女が通っていくのを見る。・・・一体、赤い着物の人物は誰が演じていたのか?

朝、叩き起こされたポアロはラチャットさんの死体を見ることとなる。

公爵夫人のメイドのミス・シュミットも赤い着物の人物を2時半に見たと証言。しかも、顔は男だったとはっきりと証言。ポアロは不信に思う。(ポアロが廊下を窺ったとき、誰もいなかったからだ)

ビデオを見返したら、元女優(=ハバート夫人役)が演じていたとありましたね。そのとき、わざとポアロの部屋のドアを叩いて彼を起こしたのでした。(後ろ姿を見せて、架空の犯人がいるように思わせようとした)

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ローズマリー [ミステリ]

ポアロ新作の二日目の放送は複数の時計(1963年作品)でヒロインの名前がローズマリーだった。殺人現場に残された4つの時計のうちの一つであった、青い旅行用時計は、ヒロインが亡き母から贈られたものであった。

実は原作では、あの女性〇〇がローズマリーの母親だった!という驚愕の展開なんだそうです。ローズマリーの花言葉は記憶。ですが、90分という時間制限のあるドラマ版では、その花言葉を活かすことはできませんでしたね。だったら、その下りをカットすればいいと思うのですけどね。

本棚にある、同じアガサ原作の『忘られぬ死』(1945年作品)を見直したら、こちらもローズマリーという女性が殺されて(自殺にみせかけ)おり、妹のアイリスも命を狙われるという物語でした。しかも、被害者の飲むグラスに毒を入れるが、後で発見されないというトリックは初日放映の三幕の殺人(1934年作品)と似通ったトリックでした。

どうもクリスティ女史のトリックもワンパターンが多いですね。

今回はドラマ版(デビッド・スーシェ主演もの)の順番を。

第1シーズン(1989年)は・・・ コックを探せ ミューズ街の殺人 ジョニー・ウェイバリー誘拐事件 24羽の黒つぐみ 4回の部屋 砂に書かれた三角形 海上の悲劇 なぞの盗難事件 クラブのキング 夢 ・・・の10篇ですべて短編のようです。

第二シーズン(1990年)も ベールをかけた女 消えた廃坑 コーンワルの毒殺事件 ダベンハイム失踪事件 二重の犯罪 安いマンションの事件 誘拐された総理大臣 西洋の星盗難事件 の短編が8篇と『エンドハウスの怪事件』(邪悪の家)『スタイルズ荘の怪事件』の2長編。

ということで、初期のシーズンはすべて短編集のものばかりだったんですね。有名なタイトルの長編の33作はまだまだ全部はドラマ化されていないのでしょうか?

 


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名探偵ポアロ [ミステリ]

夕べは『ハロウィーン・パーティ』という題名の、いかにも興味をそそるタイトル。アガサの長編60作目で1969年発表作。ポアロ物33作のうち、31番目だとある。で、どんな作品があるのか、ちょっと調べてみた。(赤字は前回の放映分4作、青字は今回の新作4本)

スタイルズ荘の怪事件(1920年) ゴルフ場殺人事件(23年) アクロイド殺し(26年) ビッグ4(27年) 青列車の秘密(28年)邪悪の家(32年) エッジウェア卿の死(33年) オリエント急行殺人事件(34年) 三幕の殺人(34年) 雲をつかむ死(35年)

までで長編10作。

ABC殺人事件(36年) メソポタミアの殺人(36年) ひらいたトランプ(36年) もの言えぬ証人(37年) ナイルに死す(37年) 死との約束(38年) ポアロのクリスマス(38年) 杉の柩(40年) 愛国殺人(40年) 白昼の悪魔(41年)

までが20作。

五匹の子豚(42年) ホロー荘の殺人(46年) 満潮に乗って(48年) マギンティ夫人は死んだ(52年) 葬儀を終えて(53年) ヒッコリーロードの殺人(55年) 死者のあやまち(56年) 鳩のなかの猫(59年) 複数の時計(63年) 第三の女(66年)

までで30作。残りが今回の、

ハロウィーン・パーティ(69年)  象は忘れない(72年)・・・ここでも推理作家のオリヴァ夫人が登場する(なお、動物の象さんとは関係ないとのこと)。確か、オリヴァ夫人は前回の放映でも登場したよな・・・?『第三の女』ですね。彼女はアガサ自身の分身ともいえる存在らしいですね。

そしえ最終作(33作目)が カーテン(1975年発表作。但し、執筆されたのは大戦中)ですね。

ほかに短編も多数あるようですが、長編は以上。最終作カーテンは当時、文庫を買って読んだ記憶があるのですが、全く覚えいてない。というか、ほとんど作品をもう一度テレビでみても犯人はわからないでしょうね。ホント、人間の記憶っていいかげんなもので、何度もテレビを見たり、本も読んでいるのに覚えていないもんですね。

あすの放映は、なつかしの映画でも有名なオリエント急行殺人事件ですね。


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複数の時計 [ミステリ]

ポアロの新作?(だとすると、まだ全部はテレビ化されていないのか?)。複数の時計(原題THE CLOCKS)。

クリスティの長編で54作目。1963年発表作。殺人事件の現場で、4つの時計が並べられていた。しかも時計の針は全て、実際の時間とは違う4時13分を指していた。

・・・ということで、思い起こすのがセブン・ダイアルズ(1929年発表作、長編9作目)。クリスティもネタが尽きたのか?

クレセント通りのクレセントとは新月[三日月]の意味だったんですね。馬の名前になんかによく使われますが、単に人の名前だぐらいにしか思っていませんでした。名馬エクリプスが月蝕・日蝕の蝕だというのは知っていたんですが。

ドラマは原作の時代背景と違うようだ。米ソ冷戦時代の作品が第二次世界大戦前の英独の関係に変わっている。なお、本作のように晩年の作品にはヘイスティグス大尉が登場しない。

ヒロイン役の女優さんも、どこかで見たことあるような。マープルかなんかに出ていたかもしれませんね。


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名探偵ポアロ [ミステリ]

今日はスーパーボウルがあるので、昨夜事前に新聞の番組表をチェックした。

そしたら、今夜から木曜まで4夜連続でNHK・BSでポアロが連続放映されることを見つけた。いやぁ~、ラッキー。危うく見逃すところでした。新作なのか再放送なのかはわかりませんが、とりあえず録画ですね。

BSで会いましょう

さて、スーパーボウルのほうは、ハーフタイムの中休み。マドンナがショーをやっています。いったい年齢はいくつなんでしょうね?初めて聞いたのは大分昔のような気がしますが・・・。でも、確かに声はマドンナですね。家にも最初のレコードがあって、当時のステレオで聞いてましたから。 映画のプリティ・リーグにも出演していました。

前半を振り返ると、立ち上がり、ペイトリオッツがコイントスで勝ったのにディフェンスを選択。これが裏目でまたもジャイアンツが9-0で先制(4年前には、パーフェクト優勝をジャイアンツに阻まれた苦い経験があり)。危ない雰囲気になっていましたが、尻に火が付いてからがペイトリオッツの真骨頂。前半終盤にあれよあれよの98ヤードドライブで9-10と逆転しました。

 

 

 


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ミレニアム特集~聖書を超えた! [ミステリ]

出版前に死亡したスティーグ・ラーソンの遺産を巡って社会問題が生じている。

既に200万ユーロ(20億円)以上という遺産は、彼の父と弟に渡った。だが、彼と32年以上も内縁関係にあった女性には法律で相続が認められなかった。彼女はラーソンが18歳のときから、活動をともにしてきた同志だという。ドラマのミカエルとリスベットのような関係だったんですね。

ちょっと家族に問題があると思いますね。なお、彼女は相続権は認められないものの、ミレアムの第4部!の原稿をパソコンに保持していると言う。

作者のラーソンの意思を尊重するためにも、遺産は彼女に渡すべきだ・・・というのが社会の一般的な見方のようですね。まあ、日本の裁判だったら内縁の妻に認められると思いますが。実際、彼女たちが正式に結婚しなかったのは、右翼による襲撃を恐れてのことだったそうですからね。(届けの住所も別にしてあった)。だいたい、家族(父と弟)にはなんの貢献度もないわけですから、遺産を独り占めするのはどうかと思います。だいたい、自分の息子の妻と、全く会わないという関係ってどうなってるんでしょうね?

さて、作者の死因は極右(親ナチ)による殺害?・・・とか思ったりしましたが、一応、過労と食生活だということになっています。タバコは日に80本、食べるものはファーストフードばかりだったという。およそ、共産主義者とは思えないような生活なのが意外。もっとも、一服盛られたという可能性もあるとは思いますが・・・。

作者ラーソンはスクープを取るための記者ではなくて、社会的な使命を背負って活動した人だといいます。ですから、彼の意思を活かすためにも、遺産問題を早く解決してほしと思います。

なお、デンマークでは人口500万人にして、100万部が売れたこの作品。すでに、聖書を超えている!

既に国内で爆発的な売上を上げていた本書の映画化にあたり、ドラゴンタトゥーの女を演じたノオミ・パラスは無名の舞台女優だったという。彼女のインタビューによると、作者ラーソンの意思を尊重して、これ以上の商品化はやめてほしいとのことでした。

つまり、ゲーム化や第4部の発行はやめてほしいとのこと。今回のハリウッド映画化も、私には意味が分かりませんね。

なお、この世界最高の著作を持ち込まれたスウェーデンの多くの出版社は、その価値が分からず、契約しなかったそうです。なかには、原稿を読もうともしなかった会社も。本当に、愚かな連中はどこにもいますね。

この番組を見る限り、スウェーデン人はみんな英語がペラペラですなぁ~。かの国では、大学まで教育費は無料だという。


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