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これからの『ジャパンカップ』 [論評]

第30回を数えた元祖・国際招待レース、ジャパンカップ(GⅠ)は3歳ローズキングダムの優勝という快挙であった。

当日の競馬テレビでは、ジャパンカップ創設に尽力した競馬会職員の特集があった。いわく、『第一回では日本馬に負けてほしかった・・・』。つまり、明治時代から継承された、旧態依然の競馬会に

カーツ!

を入れたいというのが、その目的だったという。だから、負けてほしかった。その負けをバネにして調教技術や騎乗技術の進歩を促したいという意図だったという。

もちろん、これは表向きの話だから、競馬会の職員が本気でそんなことを考えているということは全くないのだろうけれど、馬券を推理するという意味では参考になる。

つまり、その意図を汲み取っていれば、第1回~第3回までは外国馬から馬券を買っていればよかったわけですからね。間違っても天皇賞馬や有馬記念馬を勝って応援!なんて愚挙に走ってはいけなかったわけだ。第一回は外国牝馬のメアジードーツという馬が驚異的なタイム(当時、2分25秒3)で優勝した。最初のレースだから処女レースだったというわけ。

そして競馬史上最大のクライマックが第4回ジャパンカップであった。前年の昭和58年伝説の名馬シンザン以来18年ぶりの三冠馬となった大将ミスターシービー(父、トウショウボーイ)。そして、その年無敗の三冠馬となったシンボリルドルフ。とうとう、日本馬が勝つときが来たと誰もが思ったことだろう。

ところが、なんと勝ったのは日本馬は日本馬でも伏兵のカツラギエース!しかも逃げ切りであった。前走・天皇賞(秋)で四冠馬となったシービーは、全く伸びず10着と惨敗した。これを戦争に例えれば、追い込みのシービーが囮となって外国馬をひきつけ、ノーマークのカツラギを勝たせた・・・という日本軍の作戦が嵌ったと考えれば正統派的馬券推理であろう。確かに、こういった考えをべぐらすことも、こと馬券推理という頭脳訓練には有効であろう。

ただ無論、馬券の本道ではない。正当な解釈をするならば、この年からジャパンカップは10Rに変更になったということだろう(それまでは9R施行)。さらに考えれば、この年日本中央競馬会は満を持して競馬元年(丁度、干支の先頭、ねずみ年だった)と銘打ってGRADE制を導入していた。今でこそ当り前となったGⅠ・Ⅱ・Ⅲという呼称を諸外国に倣って導入したのであった。(もちろん、当時のグレードは日本国内限定のローカルグレードであったから、現在の国際競馬パートⅠ国のグレードとは月とスッポンである)。

その後、ジャパンカップは日本馬・外国馬が互角の勝負を繰り広げ、今年までは日本の15勝、外国勢14勝となっていた。そして今年第30回、日本勢は圧勝した。

こうしてみると、いかにもジャパンンカップの設立趣旨どおり、日本の技術・競馬関係者の体質が近代化した・・・と思えるが、実際には技術の向上というとより

単に外国から血統(種牡馬)を輸入しただけ

としか思えないのは私だけ?だって、シンザン、シービー、ルドルフの子孫が今走っていますか?

今走っているのは、ほとんどがアメリカの二冠馬サンデーサイレンスの子孫なのだ。サンデーサイレンス自体は、血統的には二流馬らしいのだが(だから、輸入できたんだろうけど)、今や日本の競馬馬のほとんどはこのSSの血統が入っているんではないかと思えるくらいだ。まあ、正直いってSSを輸入・所有していたのが北海道に広大な牧場を要するダイナ・シャダイの社長さんだから、走って当然でわだなぁ。この当りが経済動物といわれるゆえんだろうが。これ以上は追求しまい。ただ、奇跡の馬=神の脚ラムタラ(4戦4勝の英国ダービー馬)の産駒が全く走っていないとだけは言っておこう。

さて、今年は久しぶりに外国馬が多数出走したけれど、完全にヤラセだもんなあ~。検討すらしませんでしたね。だって馬券に絡む要素というか雰囲気が全くないもんね。強い外国馬に寒気すら覚えるというあのドキドキ感に震えたジャパンンカップはもう来ない。こと日本の競馬場でやる以上、外国馬が勝つ可能性は0に等しくなってきた。もう、ジャパンカップをやる必要がないから、廃止したらどうだろうか?

一般の方に分かるように説明すると、日本の競馬場(芝コース)は異常に硬い馬場なのでとんでもないタイムが出る。一体、真剣勝負で走らせたらどれぐらいのタイムが出るか分からないくらいだ。外国の競馬などは、ときどきBSかなんかで見ることあるでしょうが、まるで緑の絨毯のような深い芝コースです。まあ、正統派的観点で言えば、外国馬は骨折が怖いので本気で勝負してこない・・・てことになるし、サイン派的に言えば、もはや外国馬を勝たせるオペレートはあまり無いということでしょうか。

JRAさんでは、ジャパンカップの事業仕分けはしないんでしょうかね?まあ、国際招待だから、外国の馬主・関係者さんたちとの親善が目的だから廃止する必要はないか・・・。まあ、競馬のお祭りってことで、国内最高賞金2億5000万円を設定しているだけどね。

国際招待レース・・・JRAがアゴアシ付で外国馬を招待するレース。有馬記念や宝塚記念のように、JRAが出走場を決めるレース。

ダービーや天皇賞のような予選(トライアルやステップレース)を勝ち上がった馬が、雌雄を競う正当な(種牡馬選定のための)競走とは全く違うレースということです。

ところで、あのマギー史郎のような枠順の公開抽選ってやつは、未だにやっているんですかねえ~?


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コメント 2

たいちさん

ジャパンカップの歴史が分かってよかったです。馬場の硬さがそんなに違うとは知りませんでしたね。
by たいちさん (2010-12-01 14:37) 

降龍十八掌

たいちさん、ありがとうございます。
硬い馬場ですから、7割程度の力で走っているでしょうね。

by 降龍十八掌 (2010-12-01 16:49) 

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