本陣殺人事件 [推理小説]
犬神家の一族の原作を読む前に、まず、金田一の為人(ひととなり)を調べるために、第一作の本陣殺人事件を読みました。(名前は有名ですが、今まで読んだことありませんでした。)
タイトルは本陣といっても、時代劇ではない。
金田一耕助ものの処女作。この殺人事件の原因となったのもまさに、その『処女性』であった。ただし、時系列では最初の事件ではないという設定。
金田一は東京の某私立大学に入った1年後、アメリカのカレッジに留学。麻薬に溺れていたが、サンフランシスコである迷宮入り寸前の殺人事件を解決したことから、ある日本人と知り合いとなったのが縁で、探偵業を目指すようになる。・・・麻薬に溺れていたという設定はホームズの真似だろう。なお、金田一という苗字は、横溝正史の近所にアイヌ語学者の金田一京助先生(春彦先生の父)の弟が住んでいたからだそうだ。それで、下の名前まで拝借して耕助にしたという。
金田一耕助は東北なまりで、どもりもあり、石坂浩二のような男前ではないというのが本来の設定。
本陣は殺人の舞台が昔、先祖が本陣になるような宿を営んでいたということだけであって、本来は
妖琴殺人事件
と呼ぶべき内容である。
本作は探偵作家である『わたし』が、事件にかかわった医者からのまた聞きで得た情報を語るという設定であり、出だしからちょっと理解しづらい。聞きなれない昔風言葉や漢字も多数あり、読むのも大変。
内容的には密室殺人であり、機械的なトリックを用いているので、あまり明快な推理ものではない。ただ、決して読んでつまらない本ではないですなぁ。
金田一耕助といえば、すぐに石坂浩二を思い浮かべますね。
by たいちさん (2010-08-20 15:06)
今日、本陣殺人事件を見ましたが、中尾彬の若い頃のものが一番原作に似ているように思います。
原作者も一番のお気に入りだったそうです。
by 降龍十八掌 (2010-08-23 22:02)