僧正殺人事件(偉大なるヴァン・ダイン) [推理小説]
主人公、ファイロ・ヴァンスは英国人で、アメリカに遊びにいっているのだと思っていたら、アメリカ人という設定でした。ただし、彼の執事はイギリス人。毎年5月にフランスへ行くとあったので、ついイギリス人だと思い込んでしまいました。というか、作者のヴァン・ダインとか名前がアメリカ人らしくないので・・・。(といっても、イギリス人の名前にも見えないですが・・・
解説を読んだところ、探偵ファイロ・ヴァンス自体が本名ではなくて、さしさわりがあるので執筆者のわたし=ヴァン・ダインのつくった偽名であるとありました。なぜなら、彼はシロウトでありながら友人のニューヨーク市地方検事の手伝いをして難事件を解決しているからです。つまり、アリソン・デュボアとデヴァロス検事の関係と同じ。実際の解決をしたのは、すべてファイロ・ヴァンスという設定なんですね。
さらに、原作者のヴァン・ダインという名前もペン・ネームで正体不明の人物で、当時は話題になったそうです。これも、現代にたとえると、デスノートの原作者=おおばつぐみ・・・の正体がいろいろ取りざたされたのと同じです。
解説によると、本格推理ものの本家はアメリカのエドガー・アラン・ポーなのですが、その後継者は長い間いなかったそうで、なぜかというと、アメリカ人はジャレが分からない人種?なので、推理小説作家の地位が異常に低かったそうだからです。
ヴァン・ダインはハーバード大学卒業とありますから、秀才ですね。確かに、この僧正殺人事件でも数学や物理の話が理路整然と頻繁に出てきます。あのエラリー・クイーンも、ヴァン・ダインの影響を強く受けていると述べているそうですから、すごい人だったんですね。なんで、今まで読まなかったのか不思議。
まさに本格推理の元祖みたいな人だったんですね。十画館の殺人事件で犯人が、ドイルやカーでなくて、ヴァン・ダインだったのも納得。
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