科学のためにできること~レオン・レーダーマン他 [読書]
近代科学社 野中香方子(翻訳) 渡辺政隆(監訳)
科学リテラシーに関する本。
日本以上に、アメリカでの科学教育の水準低下が問題となっていることに驚き。
科学・テクノロジー・発明
科学とテクノロジー・発明などとは違うと言う。それら相互の違いと関係を現代の学校では教えていないという。
子どもを取り巻く環境
アメリカのK12(12年生、日本の高3ぐらいか)に対して、あらやる集団が『学校を物理学者から遠ざけるべきだ』という意見で一致しているという。この集団とは、サッカークラブの父母会であり、教員グループ、地域団体etcである。
科学カリキュラムの主な目的は、科学的思考を身につけさせることなのだが、(現実には)推定・確率・統計という重要かつ実践的な分野は高校では扱われていない。
有意義で一貫性があり、スムーズにつながっている科学のカリキュラムは今のところ存在しない。
大学は高校の授業など気にも留めないし、高校も中学の授業内容を見ようとしないし、中学も小学校など眼中にない!その結果、世界でもっとも科学技術が進歩している国で、毎年、数学・科学オンチの17才を多く生み出すこととなっている。大学教育と義務教育が乖離している。
高校の99 %で、科学は第9学年の生物から始まるが、このカリキュラム編成は19世紀の産物(悪しき風習!)であり、科学リテラシーの普及を阻害するものである。
地域や指導者側も女性と白人以外のマイノリティーは数学・科学ができないという偏見を広めている。
メイ・C・ジェミル 『科学リテラシー・キャンペーン』
このキャンペーンは『麻薬撲滅』『テロとの戦い』と同じくらい大切である。
豊かな国の貧しい科学
科学技術にたいする社会の評価は、それが『人類の生活向上にいかに貢献したか』で測る。しかし、最近のアメリカでは、『目先の利益を重視する浅はかな傾向』が目立ち、市民やリーダーの科学リレテラシーの増進を阻害している。
科学・工学の大切さ
人類が火を熾し始めてから、刃物を分子配列まで整えるまでに進化した。現代は、良くも悪くも、種への影響力が格段に強化している。F・ベーコンが言うように、『科学とは4つのイドラを払拭すること』である。
科学的手法は社会の意思決定に重要であるのだが、正しく理解されていることが少ない。
教育格差と障害
科学レテラシーとは、基礎的な知識と理解であり、高校を卒業したものが科学に関する新聞記事を理解でき、それが社会にどんな意味を持つのか理解できることである。
・アメリカの小中の成績は先進国の中の平均を大きく下回っている!
・高校以上での理工系の生徒数は減少の一途をたどっている!
・メディアでとりあげらるのは、災害や似非科学ばかりである。スペースシャトルの事故や、占い、霊現象、UFOやミステリーサークル・・・基本的な科学情報に欠けている。
問題点
・多くの学生が『科学と数学の学位』の無い教師の指導を受けている。小学校では、大学レベルの科学の授業の履修をしていない教師の指導を受けている。つまり、高校卒業時点で、理工系への職業の道を閉ざされているのだ。
・バランスの取れた教育の核となるのは、科学の基礎知識であるが、1970年代以降、その主張は影が薄くなっている。
・理工系のアメリカ人学生が減っており、外国人の割合が増えている。これにより、アメリカ産業の担い手となる理工系労働力が不足している。
・日常生活に欠かせない科学的な常識への無知。
アメリカの科学の教育についての問題点が良く分かりました。日本も同様ですね。科学以外も子供の学力低下を憂慮しています。
by たいちさん (2008-03-24 11:03)
科学リテラシーの根本の根本は・・・・・、
この世界の成り立ちと仕組みは、万人にとって客観的にかつ絶対的にかつ普遍的に存在している自然法則+エネルギー一体不可分の働きで全て造られ支配されている、という事実=真理を知ることから始まります。
この理解には、数学はいりません。
http://blog.goo.ne.jp/i-will-get-you/
一般法則論
by 一般法則論者 (2008-03-30 18:53)
たいちさん、ありがとうございます。
この本によると、アメリカ人には原子と分子の違いがわからないとか、日本ではありえないような大人がたくさんいるとのことでした。
もっとも日本では、逆に、やたら詰め込み教育してりるわけですが・・・
by 降龍十八掌 (2008-03-30 20:18)
colletさん、ありがとございます。
ちょっと、わかりずらい本でしたので、繰り返し読んで、最初の方の部分を要約してみました。
by 降龍十八掌 (2008-03-30 20:20)