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センター試験解説(4) [文系学問]

第一問の問4から

演劇的虚飾にも実生活的虚飾にもまどわされない・・・とはどういうことか

(本文) 

(役者がトチッタときに) 

 実生活でも演劇でもないもの、そうした暗黙の了解を超えた或る本質的なものを垣間見るのである。

 このトチルことによって生じた奇妙な緊張感とは何だろうか。(最初に述べた古典的演劇の飛翔力をプラスとしたら)マイナスの飛翔力とでもいうのだろうか。この奇妙な緊張感を利用してとりいれたのがアンチテアトル(前衛的演劇)の手法である。

 また、直後に

人間の実存を見出そうとしたのが俗にいうアンチテアトルの手法・・・ とある

選択肢

①演劇的に誇張されたせりふにも日常会話を写し取ったせりふにも懐疑的であること

②演技における装飾的な演技とも実生活における偽善的振る舞いとも無縁でいること

⑤演劇をささえる秩序にも実生活を統括する倫理にも組み込まれないでいること

ここが一番難しいところだろうか?というか、簡単に読み飛ばしてしまい、唯一私が間違えた問題なのだ。(朝の6時半という頭がぼけた状態だった・・・というと言い訳がましいが)

 

問題の箇所に先立って『実生活でも演劇でもないもの』とある。これが問題の『演劇的虚飾、実生活的虚飾にまどわされない』と同値(数学用語なので不適当かもしれませんが)と考えてよいだろう。

また、直後の『人間の実存』も先の『或る本質的なもの』を言い替えたものだろう。

高校時代にはキルケゴールやサルトルをやりましたね。倫理社会、私は大好きでした。実存とは確か『実体存在』の略だったと思います。中学時代とちがって高校の3年間って飛躍的に抽象的思考が伸びる時期ですから。今思えば、数学から英語、世界史、化学まで本当によく覚えたと思いますよね。

とまあ、なんだか高校生にはわからないだろうが(大人でもわからないでしょう)実存というものがあるんだぐらいの認識でいいでしょう。

現代国語とはまさに現代人の実存、個人、個性、自立がテーマである。現代の日本語(会話)の勉強ではないのだ。すなわち、現代・現代人とは何かということが問われているのだ。

出口の公式2

現代国語のテーマは決まっている。普段からキーワードのストックノート作っておこう

であるから、この問題のような演劇・美術関係の文章がよく取り上げられるのだ。また自然と環境のようなお決まりのテーマが使われる。

さて、検討に入ろう。

①は日常のせりふとか演劇のせりふとかが×。 セリフの話なんかしていないし、本質的な問題でもないからね。

②はいかにもそれらしい。普通に考えれば、そうかなと思いますね。まさに常識のワナでしょうか。確かに実生活では、偽善的に振舞っていますからね。皆さん、みんなそうでしょう?

で最後に

⑤ 演劇を支える秩序、実生活を統括する論理 とかいきなり難しい用語がならんで、どういう意味かさっぱり。

なので、⑤は簡単に消してはいけません。(いくら書いていないことは×という基本があったとしても)よーく考えてみないと。同じ意味のことを違う言葉で言っている場合もあるのだから。

②の装飾的演技。虚飾と装飾で似ているが、要するにオーバーアクションということだろうか?また偽善的振る舞いというとなんか道徳的な話になっていて変。

演劇=水戸黄門に見られるような架空の絵空事=夢、理想、完璧

現実=困難、タテマエ

これら二つの『暗黙の了解』を超えた或る本質的なもの=人間の実存

という主張が、この文章の一連の流れなので、

正解は⑤です。

残りの問い5、6は段落や全体の要旨なので日本人なら意味は解るでしょう。ほとんどの人が正解したと思います。よって省略。

次回は第二問の小説。

実は小説が一番、正解率が悪いんです。これは読みやすさ=解りやすさとカン違いしている人が多いから。

また、小説を本当に客観的・論理的に読解するとういう訓練が小学生の時から徹底されていないから。

よく、生徒に読書とかいいますが、いくら本を多く読んでも国語の点数は上がらない!

これはもうハッキリしているんです。

自宅で読書する分には何をどう解釈しようと自由なのです。憲法で保障されていますからね。よく、中学入試の問題で模範解答を書かないと合格できないと思っている保護者(特に母親)がいるようですが、内容で判断するなんてことはないですよ!

もし、そんな学校なら入学する必要はないです。

あくまで、書いた内容が論理的に正確かどうかなんです。(もちろん、誤字・脱字は減点。マスの使い方も含めて)

 だが、こと入試問題となれば、話は別です。文藝作品としてではなくて、論理的読解力の教材として小説の一部を抜粋してるのですから。

つまり、あくまで問題として取り上げられた部分だけ読んで、ここは少なくともこう解釈するしかないよねという最大公約数的なものが正解なんです。大学入試(特に偏差値の高い大学)などはその点、本当によくできていると感心させられます。問題を作る人って本当に優秀なんでしょうね。

その点、中学入試の国語は(いわゆる一流校でも)?の答えがしばしばあるのですが・・・

問題作成者のレベルの差ですかね?

読解のポイントは

小説にしろ、論説にしろ言葉は文脈の中で決まる・・・ということ。

多様な単語の意味も結局は前後に(つるされたものが糸に引かれるように)引っ張られて一つに決まる。

小説の場合は特に、風景描写に注意しよう。

風景は主人公の心情を移している・・・場合がよくある。

といっても、今回のセンターの問題では風景描写はなかった・・・

ので役に立ちませんでした。残念!!


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